無線通信制御技術|農機、産業機器向け設計事例の紹介

無線通信の制御は東阪エンジニアリングへお任せください

Wi-FiやBluetooth、LoRaなどの無線通信機器のデバイス制御はお任せください。東阪エンジニアリングではお客様の求める通信タイプや通信速度、送受信させるデータ、周囲の環境などとさまざまな情報をヒアリングさせていただいた上で、最適な仕様をご提案させていただきます。
また、設計から基板実装、組み立てまで一貫して対応いたします。ぜひお気軽にご相談をください。

無線通信制御における設計事例

現場の環境が異なれば、直面する無線の課題も全く異なります。ここでは、弊社でよくご相談をいただく業界別に、通信課題と対策方法を紐解きます。

①農業・農機具|広大な「反射物がない」空間がもたらす罠
(実績:EV仕様の電動草刈機用無線リモコン等)

農業分野では、広大な畑を転々と動き回る電動草刈り機の無線リモコン(EV仕様)や、サイロ内の飼料残量を無線で計測してスマホで管理するといったスマート農業化が進んでいます。

ここでよく直面するのが「通信距離の壁」です。スマートフォンで直接制御したいという要望からWi-FiやBluetooth(BLE)が検討されますが、これらは数十メートル程度が限界であり、広大な農地をカバーするには適していません。

また、農地は見通しが良いから電波が遠くまで飛ぶと思われがちですが、実は「電波を反射・回折させて遠くまで届ける建物」が存在しないため、電波が大地に吸収されたり、直接波と大地からの反射波が干渉して特定の距離で電波が打ち消し合ったりする現象が起きます。

【アプローチ】
このような環境では、通信速度よりも「距離と障害物の回り込み」を優先し、920MHz帯(Sub-GHz帯)やLoRaWANなどのLPWA規格を採用する設計が有効です。スマホと直接通信できない場合は、中継機(ゲートウェイ)を設計し、長距離無線とスマホ向けのWi-Fi/BLEを変換するハイブリッドな基板構成をご提案します。

工場やプラントでは、ガス漏れ検知器の異常信号を無線で飛ばして遠隔のパトライトを点灯させたり、自動ドアの設定を従来の「基板上のつまみ」から「スマートフォンからのBLE操作」へ変更したりと、設備のスマート化が急務です。

②産業機械・工場|「動く金属」が生み出す見えない干渉
(実績:機器のガス漏れ検知・無線データ送信等)

工場特有の課題は「金属による激しい反射と干渉」です。特に厄介なのが、ロボットアームや搬送台車、装置カバーなどの動く金属の存在です。金属が動くことで電波の反射状況が刻一刻と変化し(動的マルチパス環境)、ある瞬間だけ通信が完全に途絶えるデッドスポットが突発的に発生します。

【アプローチ】
工場のレイアウトや他の無線機器の使用状況(チャネルの空き具合)を事前に想定した上で、複数のアンテナで電波を受信するダイバーシティアンテナの実装や、マルチパスのノイズに強い変調方式を持つRFチップの選定など、基板設計の段階から耐障害性を高める工夫が必要です。

③電車・鉄道インフラ|金属の塊とアンテナの高さによる課題

鉄道業界においても無線の活用は広がっていますが、鉄道車両自体が「巨大な金属の箱」であるため、電波を遮断してしまう(ファラデーケージ効果)という強力な物理的障壁があります。

また、線路沿いの通信機器とやり取りをする場合、機器が地面に近いほど電波の通り道(フレネルゾーン)が地面に干渉し、通信が不安定になります。一般的に、アンテナは地面から離れているほど電波が飛びやすいという特性を持っています。

【アプローチ】
車内外を貫通する専用のアンテナ設計や、地面の反射影響を最小限に抑える指向性アンテナの採用、さらには通信が一時的に遮断された場合でも安全な状態を維持する(フェールセーフ)ための制御用マイコンのフェイルオーバー設計などを基板に組み込みます。

通信関連の海外部品を安価で調達可能です

東阪エンジニアリングは次世代無線通信規格推進団体「EnOcean Alliance」の会員です。電源レスかつワイヤレス無線通信に関連するEnOcean製品を比較的安価で調達できます。 調達可能な製品のラインナップなどお伝えさせていただきますので、制御設計と共にコスト削減を検討されているお客様はご相談ください。


なぜ今、あらゆる機器で「無線化」が求められているのか

IoTやDXの波が各産業に押し寄せる中、あらゆる機器の「無線化」や「スマートフォン連携」が製品開発における必須要件となりつつあります。

かつての有線通信時代は、現場に無数のケーブルが這い回り、配線作業の煩雑さや断線によるトラブル、さらにはケーブルの長さに縛られる運用管理の苦労が絶えませんでした。現在では「配線をなくして現場の作業負担を減らしたい」「スマホから手軽に機器を制御・監視したい」というニーズが急速に高まっています。

しかし、「とりあえず市販のWi-FiやBluetoothモジュールを基板に載せれば解決する」という安易なアプローチは、実際の運用現場において「繋がらない」「途切れる」「誤動作する」という致命的なトラブルを引き起こします。本記事では、無線通信の制御を得意とする基板設計メーカーの視点から、各業界におけるリアルな通信課題と、それを解決するための最適なアプローチについて解説します。

産業用ネットワーク(有線)と無線の融合

現場の課題を解決する上で忘れてはならないのが、既存の有線通信との共存です。すべての通信を無線化できるわけではなく、確実なリアルタイム制御が求められる領域では依然として有線が主役です。

産業機器向けには、イーサネット(Ethernet)、EtherCAT、DeviceNet、RS485、IO-Linkといった堅牢な通信規格が存在します。私たちの強みは、単なる無線の導入にとどまらず、これら既存の産業用ネットワークの有線インターフェースを基板上に実装しつつ、監視データの収集やスマホからの設定指示だけを無線で飛ばす「有線と無線のハイブリッド基板」を設計できる点にあります。

既存の制御システムを活かしながら、必要な部分だけをスマートに無線化することで、開発コストとリスクを最小限に抑えることが可能です。

主な通信方式

無線

規格特徴主な用途
Wi-Fi高速・一般的スマホ連携、遠隔操作
Bluetooth低消費電力・短距離リモコン、近距離制御
LPWA(LoRa, Sigfox)超長距離・低速農業、インフラ監視
920MHz帯日本の産業向け無線センサー通信
特定小電力無線低出力・免許不要リモコン、警報
2.4GHz独自プロトコル高速・干渉ありリモコン、産業機器

有線

規格特徴主な用途
Ethernet高速・汎用性が高い工場ネットワーク、装置間通信
EtherCATリアルタイム性が高いサーボ制御、ロボット
DeviceNetCANベースセンサー・アクチュエータ
RS485長距離・ノイズ耐性強い制御盤間通信
IO-Linkセンサーとのデータ通信スマートセンサー

確かな通信精度を確保するために

これまで見てきたように、人が操作したり、現地で都度調整したりする手作業での運用には限界が来ています。安定した無線通信を実現するためには、標準的なモジュールをポン付けするのではなく、現場の要件から「逆算」して基板を設計する必要があります。

東阪エンジニアリングでは開発の初期段階で以下のような項目を徹底的にヒアリングし、最適なご提案を行います。

例)
・通信速度と飛ばしたいデータの性質
ON/OFFの接点信号だけか、センサーの数値データか、容量の大きい画像データか。

・通信距離の要件
見通し距離か、障害物はあるか。

・周囲の環境
屋内か屋外か、周囲の金属の有無、他の通信機器(Wi-Fi等)の混雑具合。

・ハードウェアの制約
基板のサイズ、消費電力(バッテリー駆動か)、温度や振動などの耐環境性。

これらを総合的に判断し、最適な通信規格(Wi-Fi、Bluetooth、Sub-GHz、独自無線など)の選定から、マイコンのプログラミング、RF周辺回路の設計、そして量産に向けた基板実装までをトータルでサポートします。